2023年山縣勝見賞受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果(著作・論文)や業績を対象として表彰する制度を発足しましたが、このほど「2023年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します(敬称略)。
 なお、コロナ禍のため休止していた贈呈式を7月17日の「海の日」前後に都内にて4年ぶりに開催する予定です。

   

≪著作賞≫
伊藤 玄二郎編『船の仕事 海の仕事』
全日本海員組合発行、かまくら春秋社発売

受賞者略歴
 エッセイスト、かまくら春秋社代表。中央大学法学部卒業。ポルトガル国立リスボン工科大学客員教授、早稲田大学客員教授、関東学院大学教授等を経て星槎大学教授。神奈川文化賞、正力松太郎賞受賞など。

選考理由
 著名人によるエッセイはじめ歴史・文学・芸術など多面的な分野を網羅する内容で、ビジュアル的にも工夫され、読みやすく構成されており、海、船に未知な人やとりわけ若い人たちに海と船の魅力を発信し、海事教育に資する副読本として評価できる。

   

≪論文賞≫
吉田 正則著「人間工学とルール形成戦略からの自動運航船に関する国際規則と技術革新の同時構築」
東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴
 神戸大学工学部卒業後、運輸省(現国土交通省)に入省。海事局課長補佐、ノルウェーFNI客員研究員等を経て海事局船舶産業課国際業務室長。英国UCL(MSc)修了、東京海洋大学博士後期課程修了。

選考理由
 法規制整備に関する検討が活発に行われている自動運航船に関して、技術開発と同時に社会実装に向けての方向性整備も進めるという諸外国の技術展開手法を踏まえた、国際競争に打ち勝つための今後の技術開発戦略を示し、有益な資料と期待される。

≪論文賞≫
亀井 志聖著「自動車運搬船の貨物積載時における甲板強度判定方法に関する研究」
東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴
 東京商船大学卒業後、イースタン・カーライナー(株)、神奈川県立海洋科学高校教諭を経て、富山高等専門学校商船学科准教授。東京海洋大学大学院博士後期課程修了。専門は載荷論、船舶安全学。

選考理由
 自動車運搬船の積載対象貨物の大型化・重量増に対応すべく、現場にて利用可能な設計甲板強度に応じた貨物の積み付け可否の判定方法を新たな計算手法で提案し、新たな船舶構造設計にも寄与するものであり、優れた研究といえる。

≪功労賞≫
庄司 邦昭氏(東京海洋大学名誉教授)

受賞者略歴
 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京海洋大学教授、運輸安全委員会委員、日本船舶海洋工学会功労員、日本航海学会会長等を歴任。著書に『航海造船学』『図説船の歴史』『ショージ先生の船の博物館めぐり』など。

選考理由
 長年にわたり造船、航海など広範囲の研究活動や幅広い分野の著作を通じ、わが国学界で活躍され、顕著な足跡を残している。こうした海事産業全般に対する多大なる貢献と功績は功労賞に値する。

≪特別賞≫
滋賀県立びわ湖フローティングスクール
選考理由
 40年以上にわたり学校教育の一環として小学5年生を対象に琵琶湖を舞台に学習船「うみのこ」を利用した集団生活を通じて心身ともにたくましい児童の育成を図ろうとする、他に類を見ない教育事業である。

                                                     

以上