山縣記念財団80周年記念出版編集委員会編『日本の海のレジェンドたち』発行



 

 令和2 年(2020)6 月に設立80 周年を迎えた記念として、3月28日、当財団として初めての試みである一般書店での販売も可能となるよう、このたび海文堂出版㈱から出版しましたのでお知らせします。
 執筆者は、海事・海運の研究者や登場人物にゆかりの人々で総勢21名。海を舞台に活躍、また海事産業の発展に寄与したレジェンドともいうべき偉人20余名の評伝集です。
 「日本の海のレジェンドたち」が、いかにその時代の課題を見つめるとともに将来へのヴィジョンを描き、より良き時代の到来に向けて努力を重ねてきたか、現代を生きる私たちにも参考となると思います。
 海文堂出版㈱の特約書店一覧は以下に掲載されていますが、それ以外からの注文やオンライン書店経由でも取り寄せが可能です。問い合わせは海文堂出版㈱ 臣永(とみなが)氏までお願いします。
 なお、当財団は本書の販売には、一切関与しておらず、また、印税など収益も発生しません。

海文堂出版

(特約書店一覧掲載サイト)

書籍データ
発行年月 2021年3月
判型 A5判
ページ数 288ページ
定価 2,750円(税込)
ISBNコード 978-4-303-63442-1

 

≪目次≫
第一部 助走~世界に冠たる内航海運を支えたレジェンドたち~
 河村瑞賢
 大黒屋光太夫
 高田屋嘉兵衛
 銭屋五兵衛
第二部 ホップ~海外と関わったレジェンドたち~
 勝海舟
 小栗上野介忠順
 ジョン万次郎
 坂本龍馬
 漂流譚のなかのレジェンドたち
第三部 ステップ~海事産業の近代化を担ったレジェンドたち~
 岩崎弥太郎
 荘田平五郎
 浅野総一郎
 郡寛四郎
 松方幸次郎
第四部 ジャンプ~海事産業の発展に寄与したレジェンドたち~
 山下亀三郎
 各務鎌吉
 勝田銀次郎
 村田省蔵
 内田信也
第五部 未来へ~海事産業を新たなステージへと導いたレジェンドたち~
 森勝衛
 和辻春樹
 住田正一
 有吉義弥
 山縣勝見

 

≪はしがき≫
 本書は、江戸時代以降、海を舞台に活躍した「レジェンドたち」の評伝を集めたものです。その中には商人や武士もいれば、偶然の漂流から生還して一躍ヒーローになった庶民もおり、また、明治・大正・昭和期に海事産業の近代化に尽くした海運企業の経営者、さらには大船長の名前もあります。
 わが国は、「海の日」を「国民の祝日」にしている唯一の国です。「海の日」は、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを目的に制定された祝日です。四面を海に囲まれたわが国は、古来、海から多くの恩恵を受けてきました。海のおかげで、湿潤で温暖な気候や風土、豊かな海産物や資源に恵まれ、そこには漁業等を営む人々がいましたし、また、船によって、離れた地域と物資をやりとりする貿易商たちや海運企業で働く人々がいました。時代が進み、人口が増加し、海外とのヒト・モノ・文化の往来もますます活発になりました。こうして海は「世界を隔てるもの」ではなく「世界をつなぐもの」になったのです。
 本書の編集者である一般財団法人山縣記念財団は、「海事交通文化の発展に寄与すること」を目的として、昭和15年(1940)、当時の辰馬汽船(現在の商船三井の源流の一つ)社長であった山縣勝見によって設立され、令和2年(2020)6月に設立80周年を迎えた記念として、本書を企画しました。企画の動機は、当財団の設立時期よりさらにさかのぼって、江戸時代以降の「日本の海のレジェンドたち」がいかにその時代の課題を見つめるとともに将来へのヴィジョンを描き、より良き時代の到来に向けて努力を重ねてきたか、現代を生きる私たちにも参考になることはないか検証したい、という考えからです。
 この文章を書いているいま現在、世界は新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機に直面し、人々の健康に対してはもちろん、生活や仕事にも大きな影響が出ています。しかし、この間も「海運」をはじめとした「物流」は片時も止まることなく、人々に食料・生活物資・エネルギーを供給し続けています。「海運」が人々の生活の「基本インフラ」であること、「船員」という仕事がいかなる状況であっても「エッセンシャル・ワーカー」であることを多くの皆様に是非知っていただきたい、そして、離れた地域間、ひいては世界中の人々と平和的に共存共栄できるようなつながりを求め、海上交通網を構築し、維持・拡大に努力してきた人々、その中で活躍した人々に思いを馳せていただきたい、そうした思いを胸に本書を皆様のお手元にお届けさせていただく次第です。
 最後になりますが、これだけ多くの「日本の海のレジェンドたち」が生きた航跡を紹介できるのも各評伝を執筆いただいた21名の皆様、並びに資料や画像を提供してくださった皆様のおかげであり、ここに心からお礼を申し上げます。
 また、これまで当財団の出版物は海事関係者など限定した範囲での配布としていましたが、本書については、より多くの方に読んでいただきたいとの願いから、初めて出版社経由での出版といたしました。本書の企画段階から、編集、出版に至るまで終始多くの助言をいただいた編集委員の先生方、並びに、海文堂出版の臣永真氏に、この場を借りて改めてお礼申し上げます。  

2021年2月

                   一般財団法人 山縣記念財団 
                     理事長   郷古 達也