『海事交通研究』(年報)第72集を発行しました。

  12月13日発行後、海事関連の研究者の皆様や企業、団体並びに公立や大学の図書館に配本しました。配本先図書館等はこちらからご覧下さい。
  お手許にお取り寄せご希望の方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、またはお電話にてお申込み下さい。
  また、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       
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    TEL(03)3552-6310


≪序文≫

 本年も、『海事交通研究』第72集をここにお届けいたします。
 執筆ならびに査読をいただいた先生方にお礼を申し上げます。
 本年も、全編「自由テーマ」で研究論文(査読付き)およびそれ以外の作品(査読対象外)を募集しましたが、ご覧の通り、非常に多岐に亘る作品が寄せられました。
 各作品の詳細については、今回の第72集から、文頭に「アブストラクト(要旨)」と「キー
ワード」が表示され、最大容量が、従来の12ページから14ページに増えましたが、是非
多くのテーマに目を通していただければと思います。
 
 さて、世界は、2020年初頭から蔓延した新型コロナウィルス感染症、2022年2月に開始されたロシアのウクライナ侵攻、さらには、2023年10月に勃発したパレスチナ・イスラエル間の戦争等により、大いに震撼し、人々の生活や仕事、経済全般に大きな影響をもたらしました。
 当然、「海運」をはじめとした「物流」の世界にも少なからず影響がありましたが、「海運」・「物流」の業界は、人々の生活に欠かせない食料・エネルギー・生活物資の流通を「何があっても止めない」と言う使命感の下に、エッセンシャルワーカーとして活動して参りました。

 私は、「海は、世界を隔てるものではなく、世界をつなぐものである」と言う言葉が好きですが、まさにここで、海を介して世界をつないでいるものは「海運」であり、海が平和を保ち、シーレーンが確保されなければ、「海運」による物流は成り立たず、たちまち私どもの生活にも支障をきたしてしまいます。
 しかし、企業間取引(B to B(=Business to Business)取引)の多い「海運」は、他の多くの
企業・消費者間取引(B to C(=Business to Customer)取引)を主とする産業と異なり、一般消費者に馴染みが少なく、「海運」の重要性が、中々認識されにくいのは、大変残念なことと言わざるを得ません。せめて、7月の「海の月間」や「海の日」の前後には、「海」「船」そして「海運」の世界がクローズアップされ、一般消費者の共感をいただけるよう私たちも努めて参りたいと思っております。

 当財団は、今後も、微力ながら、海運を取り巻く事象を、皆様に伝えていくために、以下の三事業を推進して参る所存ですので、何卒よろしくお願いします(詳細は、巻末の募集要領をご覧ください)。
1.
本誌『海事交通研究』を通じて、海事に関する幅広い分野をカバーする査読付き論文やそれ以外の作品を、広く募集します。査読付き論文については、昨今若干応募が減っている傾向がありますが、是非皆様のご研究成果をお寄せいただきたく、よろしくお願いします。
2.
創設者の名前を冠した「山縣勝見賞」は、2008年に「著作賞」「論文賞」「功労賞」の3つでスタートし、2014年からは「特別賞」が追加されましたが、この「特別賞」についてはイメージが沸きにくい面がありましたので、今回募集要領の文章を加筆しました。
是非、皆様の周囲で、本賞に相等しい方がいらっしゃいましたら、ご推薦くださいますようお願いします。
3.
海事交通文化の研究及び普及・発展に貢献する事業への支援・助成についても、引続きよろしくお願いします。

最後になりましたが、皆様のご健康とますますのご発展をお祈りしております。

2023年12月
                           一般財団法人 山縣記念財団
                            理事長    郷古 達也

 

≪目次≫

序文 郷古 達也
≪研究論文(査読付き)≫
自動運航船の避航アルゴリズムと海上衝突予防法
―「第三船」の認定問題を中心に―
藤 原(森田)紗衣子
中立国商船としての日本海運の安全と新規航路の確立への施策の検討 大河内 美 香
戦時に紛争非当事者国の海上交通が直面する脅威の変遷と対応
―戦時に海上交通を確保するための具体策―
浦 口 薫
≪特別寄稿≫
海運における人間主体のクリーンエネルギー移行とは
―国際エネルギー機関からの 12 の提言と海運への期待―
北 田 桃 子
洋上風力プロジェクトの保険
―長期安定的な海上保険カバー提供に向けて―
小 林 宏 章
海難救助における当事者の義務と責任 雨 宮 正 啓
≪活動報告≫
次世代へ海運の重要性を伝える
―海事教育推進の足跡―
友 田 圭 司
海事広報メディエーターとしてのキャラクター
―山縣勝見賞受賞者の活動報告―
谷 川 夏 樹
 

執筆者紹介
山縣記念財団からのお知らせ
   

 

≪執筆者紹介≫

(掲載順)

藤原(森田) 紗衣子(ふじわら(もりた) さえこ)
2000 年神戸商船大学航海科卒業 三級海技士(航海・機関当直)。神戸大学大学院自
然科学研究科博士後期課程修了 博士(海事科学)。研究分野は、海上衝突予防法を中
心とした航法解釈、海難審判及び船舶事故調査報告書における事故事例の検証。本誌で
は、「海上衝突予防法 7 条『衝突のおそれ』認定における法的課題―船舶の技術革新と
『新たな衝突の危険』の法理の関係を中心に―」(第 71 集、2022 年)を執筆している。
所属学会は日本航海学会、日本海運経済学会。連絡先:potosu21@gmail.com

大河内 美香(おおこうち みか)
立教大学法学部国際・比較法学科卒業、同大学大学院博士前期課程民刑事法専攻修了、
東京都立大学大学院博士後期課程退学、パリ第 2 大学大学院高等研究学位取得(DSU)。
2005 年から現在、東京海洋大学 准教授。専門は国際法、海洋法、海事法。近年の論文
に「国家責任法における過失の位置―高度の危険を内包する活動に関する国家の相当の
注意義務の考察をとおして ― 」(単著)、「 Restabilising Afghanistan through a
Comprehensive Logistics Framework for the Access to Ports」(共著)がある。所属学
会は国際法学会、日本航海学会等。

浦口 薫(うらぐち かおる)
防衛大学校国際関係論学科卒業後、海上自衛隊入隊。防大総合安全保障研究科前期課
程修了(山﨑学生奨励賞受賞)、同後期課程満期退学。2020 年に大阪大学より博士号(国
際公共政策)授与。潜水艦部隊、統合幕僚監部等での勤務や中曽根平和研究所主任研究
員等の研究活動を経て、現在、防大国防論教育室准教授(2等海佐)。著書:『封鎖法の
現代的意義』(大阪大学出版会、2023 年)(猪木正道賞奨励賞受賞)。論文:「海戦におけ
る機能的目標選定の確保をめぐる目標識別上の諸問題」防衛法研究会編『防衛法研究』
第 31 号(2007 年)等。学会報告:「第三国によるウクライナへの武器提供及び軍事情報
提供の法的評価」日本防衛学会、2022 年 11 月;「海上封鎖の現代的意義」国際法学会、
2022 年 9 月等。専門:海洋安全保障、国際法(特に海戦法規、海洋法)。所属学会:日
本防衛学会、国際法学会、世界法学会、防衛法学会、国際安全保障学会等。

北田 桃子(きただ ももこ)
神戸大学海事科学部航海学科卒業 三級海技士(航海)。カーディフ大学社会科学院
(英国ウェールズ)卒業 博士(社会科学)。世界海事大学(スウェーデン)教授、海
事教育訓練専門課程ヘッド。研究分野は、ヒューマン・エレメント、ジェンダー平等、
海事教育訓練、脱炭素化、デジタリゼーションなど。参加型ジェンダー監査、及びモニ
タリングと評価の資格を持ち、国際海事機関のジェンダー平等政策に専門家として評価
や監査を実施している。主に英語による 100 本以上の論文や編著があり、「Transport
2040: Impact of Technology on Seafarers, The Future of Work」の研究報告書(共著者:
Olcer 他)の成果に関し、政治家、船主、研究者を対象に講演を行っている。

小林 宏章(こばやし ひろあき)
慶應義塾大学法学部政治学科卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。現在、
東京海上日動火災保険(株)船舶営業部部長兼海洋開発室長として、海洋石油開発保険・
洋上風力保険を統括する。寄稿として、「米国における海洋油濁に関わる法制度」『石油
開発時報』No 173、「オーストラリアの海洋環境規制 ~海洋油濁事故発生時の費用に対
応する保険~」『石油・ガスレビュー』Vol.49 がある。2013 年、Association Internationale
de Droit des Assurances (AIDA)・海上保険ワーキングにて「Offshore Energy
Insurance – Risks in Australia」を発表。2019-20 年、 AUV(自律型無人潜水機)の安
全運用ガイドライン策定検討会委員。2020-21 年、洋上風力官民協議会作業部会・サプ
ライチェーン分科会/規制制度分科会/浮体式分科会委員。

雨宮 正啓(あめみや まさひろ)
早稲田大学法学部卒業後、早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻(修士課程)修
了(法学修士)。(株)日通総合研究所、小川総合法律事務所を経て、2018 年 1 月雨宮総
合法律事務所設立。弁護士、法務省法制審議会臨時委員(商法(船荷証券等関係)部会)、
早稲田大学大学院非常勤講師(担当科目:傭船契約法研究I及びII)、大連海事大学客
座教授、(公財)日本海法会評議員、(一社)日本海運集会所海事仲裁委員会仲裁人。早
稲田大学客員教授、法務省法制審議会幹事(商法(運送・海商関係)部会)、国土交通
省「標準運送約款及び内航標準約款のあり方に関する検討会」座長など歴任。主な著作
は「船舶衝突法」2012 年(成文堂)、「船舶衝突法 2 版」2023 年(成文堂)(共著)や “Collision
at Sea” 2011 年・Asian Business Lawyer Fall 2011(高麗大学)、「荷送人の義務の実務
的検討」2018 年・法律時報 1122 号(日本評論社)。

友田 圭司(ともだ けいじ)
信州大学経済学部卒業後、川崎汽船(株)入社。ロンドン、ハノイ、シンガポールで
の海外在勤 10 年。コンテナ船・自動車船・港湾開発事業および経営企画に従事し、理
事(海事産業政策担当)を歴任。並行して長年(15 年来)海事産業政策全般にわたって
海運業界活動に携わる。(一社)日本船主協会 常勤副会長、(一財)日本船員厚生協会
会長を歴任。現在は(公社)日本港湾協会理事。(一社)日本船主協会による環境適合
型船舶解撤の国際条約(2009 年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国
際条約(通称シップリサイクル条約)」の発効環境整備活動を主導。同活動は 2020 年、
日本船舶海洋工学会 社会貢献賞を受賞。次世代海事人材育成・確保活動にも注力し国
内外の教育機関での講話、関連業界団体や教育関係者との連携による海事教育推進に注
力している。所属学会は日本海運経済学会。

谷川 夏樹(たにがわ なつき)
関西学院大学卒業。2000 年から屋号「EARTH CONTAINER」を掲げ、コンテナを
テーマにした作家活動を展開。油彩やアクリルによる平面絵画、実物のコンテナを用い
たフィールドワークをてがける。著書に絵本『コンテナくん』(福音館書店)、月刊かが
くのとも『かもつせんのいちにち』『うみのみちしるべ』(福音館書店)。神戸市副教材
絵本『神戸みなと物語』(青山大介・谷川夏樹共著)、『コンテナくんハワイの旅』(新風
舎)などがある。内航船を応援するため 7 月 15 日「内航船の日」(2015 年日本記念日協
会から登録認定)を提唱。2018 年山縣勝見賞特別賞受賞。

                                                   (敬称略)

2023年9月19日付異動のお知らせ

9月29日付にて、以下のとおり異動がありました。
理事
  松尾泰彦が退任しました。

これに伴い、財団案内役員・評議員・研究員<http://www.ymf.or.jp/zaidan/official/>のページを更新しました。

「第51回我ら海の子展」を後援しました。

「第51回我ら海の子展」(主催 一般財団法人サークルクラブ協会、公益社団法人日本海洋少年団連盟)の授賞式が2023年8月18日ホテル・ニューオータニ(東京)にて開催され、当財団は後援団体として参加しました。
全国の中学生、小学生、幼児から「私の海」をテーマにした絵画3,921点の応募がありました。
その内、国土交通大臣賞3作品(中学生の部、小学生高学年、低学年以下の部)はじめ、主催者、後援者、個人審査員による特別賞、金賞、銀賞の合計55作品に各賞が贈られました。

(※以下の写真をクリックすると、拡大画像が表示されます。)
第51回我ら海の子展集合写真

「第51回我ら海の子展」授賞式の集合写真
2023.8.18 於ホテル・ニューオータニ(東京)


今日は魚が大漁だ! 関諒真さんへ賞状手渡す郷古理事長

山縣記念財団理事長賞には、小学5年生 関 諒真(せき りょうま)さんの
絵画「今日は魚が大漁だ!」が選ばれ、当財団郷古理事長より関さんに賞状が贈られました。

今後の受賞作品展示会の日程は、以下の通りです。

・ 8月4日(金)~ 9月6日(水)銀座ギャラリー
(東京メトロ銀座駅・日比谷駅間の地下連絡通路)
・ 10月2日(月)~10月13日(金)国土交通省 1階ロビー(平日のみ)
・ 11月11日(土)~12月10日(日)アクアマリンふくしま(福島県いわき市小名浜字辰巳町50)
・12月22日(金)~令和6年1月21日(日) 琴平海洋博物館
神戸海洋博物館(兵庫県神戸市)、氷川丸(神奈川県横浜市)とアクアワールド
茨城県大洗水族館(茨城県東茨城郡大洗町)は今後決定します。

 

夏季休業のお知らせ

2023年8月14日(月)から15日(火)まで夏季休業とさせて頂きます。

2023年山縣勝見賞贈呈式開催

 当財団が海事交通文化の研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰するために、2008年に創設した「山縣勝見賞」は本年第16回目を迎え、7月18日(火)「2023年山縣勝見賞」の贈呈式を、都内で開催致しました。

「2023年山縣勝見賞」贈呈式における受賞者記念撮影 2023年7月18日 

右から伊藤玄二郎氏(著作賞)、吉田 正則氏(論文賞)、亀井 志聖氏(論文賞)、庄司 邦昭氏(功労賞)、びわ湖フローティングスクール所長 安江 利光氏(特別賞)
(写真をクリックすると大きくなります。)
受賞者、受賞者略歴、選考理由は以下の通りです(敬称略)。

 

2023年山縣勝見賞受賞者概要

≪著作賞≫

伊藤 玄二郎編『船の仕事 海の仕事』全日本海員組合発行、かまくら春秋社発売

受賞者略歴:
エッセイスト、かまくら春秋社代表。中央大学法学部卒業。ポルトガル国立リスボン工科大学客員教授、早稲田大学客員教授、関東学院大学教授等を経て星槎大学教授。神奈川文化賞、正力松太郎賞受賞など。

選考理由:
著名人によるエッセイはじめ歴史・文学・芸術など多面的な分野を網羅する内容で、ビジュアル的にも工夫され、読みやすく構成されており、海、船に未知な人やとりわけ若い人たちに海と船の魅力を発信し、海事教育に資する副読本として評価できる。

≪論文賞≫

吉田 正則著「人間工学とルール形成戦略からの自動運航船に関する国際規則と技術革新の同時構築」東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴:
神戸大学工学部卒業後、運輸省(現国土交通省)に入省。海事局課長補佐、ノルウェーFNI客員研究員等を経て海事局船舶産業課国際業務室長。英国UCL(MSc)修了、東京海洋大学博士後期課程修了。

選考理由:
法規制整備に関する検討が活発に行われている自動運航船に関して、技術開発と同時に社会実装に向けての方向性整備も進めるという諸外国の技術展開手法を踏まえた、国際競争に打ち勝つための今後の技術開発戦略を示し、有益な資料と期待される。

亀井 志聖著「自動車運搬船の貨物積載時における甲板強度判定方法に関する研究」東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴:
東京商船大学卒業後、イースタン・カーライナー(株)、神奈川県立海洋科学高校教諭を経て、富山高等専門学校商船学科准教授。東京海洋大学大学院博士後期課程修了。専門は載荷論、船舶安全学。

選考理由:
自動車運搬船の積載対象貨物の大型化・重量増に対応すべく、現場にて利用可能な設計甲板強度に応じた貨物の積み付け可否の判定方法を新たな計算手法で提案し、新たな船舶構造設計にも寄与するものであり、優れた研究といえる。

≪功労賞≫

庄司 邦昭氏(東京海洋大学名誉教授)

受賞者略歴:
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京海洋大学教授、運輸安全委員会委員、日本船舶海洋工学会功労員、日本航海学会会長等を歴任。著書に『航海造船学』『図説船の歴史』『ショージ先生の船の博物館めぐり』など。

選考理由:
長年にわたり造船、航海など広範囲の研究活動や幅広い分野の著作を通じ、わが国学界で活躍され、顕著な足跡を残している。こうした海事産業全般に対する多大なる貢献と功績は功労賞に値する。

≪特別賞≫

滋賀県立びわ湖フローティングスクール

選考理由:
40年以上にわたり学校教育の一環として小学5年生を対象に琵琶湖を舞台に学習船「うみのこ」を利用した集団生活を通じて心身ともにたくましい児童の育成を図ろうとする、他に類を見ない教育事業である。

以上

2023年6月19日付異動のお知らせ

6月19日付にて、以下のとおり異動がありました。
理事
  新たに、八木利幸(やぎとしゆき)及び中島正歳(なかじままさとし)が就任しました。
  なお、高田富夫は、任期満了により退任しました。
監事
  新たに、杉山裕一郎(すぎやまゆういちろう)が就任しました。
  なお、堀江孝は、任期満了により退任しました。

これに伴い、財団案内役員・評議員・研究員<http://www.ymf.or.jp/zaidan/official/>のページを更新しました。

2023年山縣勝見賞受賞者決定

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果(著作・論文)や業績を対象として表彰する制度を発足しましたが、このほど「2023年山縣勝見賞」の受賞者が下記の通り決定しましたので、お知らせ致します(敬称略)。
 なお、コロナ禍のため休止していた贈呈式を7月17日の「海の日」前後に都内にて4年ぶりに開催する予定です。

   

≪著作賞≫
伊藤 玄二郎編『船の仕事 海の仕事』
全日本海員組合発行、かまくら春秋社発売

受賞者略歴
 エッセイスト、かまくら春秋社代表。中央大学法学部卒業。ポルトガル国立リスボン工科大学客員教授、早稲田大学客員教授、関東学院大学教授等を経て星槎大学教授。神奈川文化賞、正力松太郎賞受賞など。

選考理由
 著名人によるエッセイはじめ歴史・文学・芸術など多面的な分野を網羅する内容で、ビジュアル的にも工夫され、読みやすく構成されており、海、船に未知な人やとりわけ若い人たちに海と船の魅力を発信し、海事教育に資する副読本として評価できる。

   

≪論文賞≫
吉田 正則著「人間工学とルール形成戦略からの自動運航船に関する国際規則と技術革新の同時構築」
東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴
 神戸大学工学部卒業後、運輸省(現国土交通省)に入省。海事局課長補佐、ノルウェーFNI客員研究員等を経て海事局船舶産業課国際業務室長。英国UCL(MSc)修了、東京海洋大学博士後期課程修了。

選考理由
 法規制整備に関する検討が活発に行われている自動運航船に関して、技術開発と同時に社会実装に向けての方向性整備も進めるという諸外国の技術展開手法を踏まえた、国際競争に打ち勝つための今後の技術開発戦略を示し、有益な資料と期待される。

≪論文賞≫
亀井 志聖著「自動車運搬船の貨物積載時における甲板強度判定方法に関する研究」
東京海洋大学博士学位授与論文 2021年度(2021年9月)

受賞者略歴
 東京商船大学卒業後、イースタン・カーライナー(株)、神奈川県立海洋科学高校教諭を経て、富山高等専門学校商船学科准教授。東京海洋大学大学院博士後期課程修了。専門は載荷論、船舶安全学。

選考理由
 自動車運搬船の積載対象貨物の大型化・重量増に対応すべく、現場にて利用可能な設計甲板強度に応じた貨物の積み付け可否の判定方法を新たな計算手法で提案し、新たな船舶構造設計にも寄与するものであり、優れた研究といえる。

≪功労賞≫
庄司 邦昭氏(東京海洋大学名誉教授)

受賞者略歴
 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京海洋大学教授、運輸安全委員会委員、日本船舶海洋工学会功労員、日本航海学会会長等を歴任。著書に『航海造船学』『図説船の歴史』『ショージ先生の船の博物館めぐり』など。

選考理由
 長年にわたり造船、航海など広範囲の研究活動や幅広い分野の著作を通じ、わが国学界で活躍され、顕著な足跡を残している。こうした海事産業全般に対する多大なる貢献と功績は功労賞に値する。

≪特別賞≫
滋賀県立びわ湖フローティングスクール
選考理由
 40年以上にわたり学校教育の一環として小学5年生を対象に琵琶湖を舞台に学習船「うみのこ」を利用した集団生活を通じて心身ともにたくましい児童の育成を図ろうとする、他に類を見ない教育事業である。

                                                     

以上

日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」授賞式に出席しました。

2023年3月24日(金)、川崎汽船(株)本社(東京・千代田区)にて、(公社)日本海洋少年団連盟主催の2022年度「褒状山縣賞」授賞式が開催され、当財団から郷古理事長・松尾常務理事が出席しました。

同賞は、同連盟が優秀な団員又は卒団後も引続き海洋少年団員の指導等に当たっている指導者を顕彰するために、同連盟の第3代会長を務めた山縣勝見(当財団創設者、初代理事長)の名を冠し、当財団からの助成を受けて、2010年度から開設したものです。4名の受賞者が参加し、同連盟の村上英三会長(川崎汽船(株)特別顧問)から挨拶と受賞者への表彰状・バッチの授与がありました。当財団郷古理事長からも祝辞を述べ、記念品として、『日本の海のレジェンドたち』(山縣記念財団80周年記念出版編集委員会編、2021年3月海文堂出版刊)を受賞者の皆さんに贈呈しました。

同連盟は、これにより団員の海運、船舶、海洋環境保全等の知識の更なる向上とモチベーションの昂揚を図り、引続き海洋少年団の指導育成に当たる人材を確保し、これらの活動を通じて、全国の少年少女達への海事思想の普及に大きく寄与するとともに、海洋少年団運動の更なる向上を図ることを目指しています。

日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」授賞式

川崎汽船(株)本社にて 日本海洋少年団連盟・村上英三会長(前列左)、当財団・郷古達也理事長(同右)、同・松尾泰彦常務理事(後列左から2人目)、同連盟・菊井大蔵理事長(同左端)、同・綾清隆理事(同右端)を囲んで受賞者記念撮影(クリックすると大きくなります)


日本海洋少年団連盟「褒状山縣賞」については、以下記事をご参照下さい。

褒状山縣賞

 

『海事交通研究』(年報)第71集を発行しました。

  12月15日発行後、海事関連の研究者の皆様や企業、団体並びに公立や大学の図書館に配本しました。配本先図書館等はこちらからご覧下さい。
  お手許にお取り寄せご希望の方は、下記の「お問い合わせフォーム」から、またはお電話にてお申込み下さい。
  また、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       
    お問い合わせフォーム
    TEL(03)3552-6310


≪序文≫

 本年も、『海事交通研究』第71集をここにお届けいたします。
 執筆ならびに査読をいただいた先生方にお礼を申し上げます。
 本年も、現在話題になっているテーマを中心に、全編「自由テーマ」で論文等を募集しましたが、「自動運航船」の法的アプローチの関連については合計四編が寄せられ、海運界ならびに社会の関心の高さを伺わせました。

 先ず、最初の藤原(森田)氏の「海上衝突予防法7条「衝突のおそれ」認定における法的課題―船舶の技術革新と「新たな衝突の危険」の法理の関係を中心に―」も、海上衝突予防法における「衝突のおそれ」に関する法解釈上の問題を、自動運航船の出現に合わせて解決していく必要性を提言しています。
 畑本氏の「内航船員の働き方改革に関する一考察―内航船員の働き方改革において目標とすべき予備員率―」は、近年整備された内航船員の働き方改革に関する法令をベースに、内航海運業界における船員の働き方改革の効果検証を行うための判断基準として、船員の予備員率と休暇日数との関係に焦点を当て、働き方改革の実効を上げるための考察を行っています。
 井上氏の「ラサ島(沖大東島)での鉄筋コンクリート突堤の建設―リン鉱石積出施設の技術的特徴と技術の源流―」は、戦前の南洋地域で建設された港湾をはじめとしたインフラ建設の歴史的意義と全体像について明らかにする研究の一環として、ラサ島(沖大東島)をはじめとした大東諸島に建設された港湾設備の詳細と技術的特徴について明らかにしています。
 瀬田氏の「海洋プラスチックごみに対する国際法規範の展開―海上での規制から陸の規制へ―」は、2015年に国連が採択したSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の目標のひとつである14「海の豊かさを守ろう」に基づき展開されている、海洋プラスチックごみを始めとした海洋汚染に対する国際法秩序を構築する際に、「海が陸を支配する(海から陸を見る)」という視点を用いることを提案しています。
 坂巻氏の「自動運航船と国連海洋法条約上の旗国の義務」は、自動運航船が国連海洋法条約上の旗国の義務に対しどのような影響を与えうるのかを明らかにするため、旗国が自動運航船に対しその義務を履行する際に生じうる問題について検討しています。
 久保氏の「海上保険者から見た自動運航船に関する法制度のあり方」では、海上保険者の本来の立場を「技術的側面と規律的側面における保険引受の前提条件が一定程度固まった段階で、その抱えるリスクを正確に把握し、保険商品の設計や損害対応スキームの構築に確実に取り組むこと」との認識を示したうえで、自動運航船の実用化の初期段階において、社会的コストの増大を伴うことなくその実用化による利益をわが国の社会全体に浸透させるためには、どのような法制度が望ましいか、海上保険者がどのような保険商品を提供し得るかについて検討しています。
 下山氏の「「自動運航船」の導入に伴う沿岸国の課題―法執行の観点を中心に―」は、通航中に沿岸国法令に違反する可能性が存在するため、沿岸国当局として、「自動運航船」や「無人運航船」に対してどのように法執行を行い、そして、誰にかつどのように法的責任を問うのかについて考察しています。
 青戸氏の「日本海運集会所の海事仲裁」では、船舶建造、船舶売買、傭船契約といった海事商取引にかかる紛争解決手段である海事仲裁について、わが国の常設海事仲裁機関としての日本海運集会所のご担当者として、その手続きの歴史と近時の傾向をまとめていただきました。
 海部氏の「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト―海洋進出のはじまりをさぐる―」は、人類進化学者である同氏が2016年に国立科学博物館のスタッフ等を率いて起ち上げ、2019年7月、台湾から与那国島への実験航海成功により大団円を迎えた「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」についてまとめるとともに、人類史における「海の開拓史」について考察しています。
 柴崎氏、松田氏、川崎氏共著の「海運DXの推進における産官学連携のあり方―2021年度日本海運経済学会全国大会における統一論題の議論を踏まえて―」では、各企業の業務プロセスの改善やビジネスモデルの変革、ひいては社会全体の変革をめざすデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に当たって、どのように産官学連携を進めて行くかについて、一学会内の提言に留めず、広く産官学で共有することを試みています。

 現在、海運を取り巻く世界情勢の変化には、著しいものがあります。
 本年は、新型コロナ・ウィルスの終息がいまだ見えないことに加え、2月にはロシアのウクライナ侵攻があり、世界中の物流がひっ迫し、物価が高騰し、人々の日常生活、経済に大きな打撃を与えました。
 先行き不透明な世界情勢の中で、海運界を始めとした産業界や各国政府、そして社会全体が、今最も注目し、共通の行動規範に据えているのは、先に記載したSDGsの「持続可能な」17の目標だと思われます。環境の悪化や経済や政情の不安、戦争の危機などを越えて、人類が平和に共存していくためには、ここに謳われた17の目標をさらにブレークダウンした具体的な実行策を、ひとつひとつ前に進めていくことが効果的と思われます。

 この『海事交通研究』の来年の号でも、今後の海運界の発展のための、そうした「持続可能な」ご研究についてのご寄稿を期待しつつ、最後になりましたが、皆様のご健康とご発展とをお祈り申し上げます。

2022年12月
                           一般財団法人 山縣記念財団
                            理事長    郷古 達也

 

≪目次≫

序文 郷古 達也
≪研究論文(査読付き)≫
海上衝突予防法7条「衝突のおそれ」認定における法的課題
―船舶の技術革新と「新たな衝突の危険」の法理の関係を中心に-
藤原(森田)紗衣子
内航船員の働き方改革に関する一考察
―内航船員の働き方改革において目標とすべき予備員率―
畑本 郁彦
ラサ島(沖大東島)での鉄筋コンクリート突堤の建設
―リン鉱石積出施設の技術的特徴と技術の源流―
井上 敏孝
海洋プラスチックごみに対する国際法規範の展開
―海上での規制から陸の規制へ―
瀬田 真
自動運航船と国連海洋法条約上の旗国の義務 坂巻 静佳
海上保険者から見た自動運航船に関する法制度のあり方 久保 治郎
≪研究ノート≫
「自動運航船」の導入に伴う沿岸国の課題―法執行の観点を中心に― 下山 憲二
≪特別寄稿≫
日本海運集会所の海事仲裁 青戸 照太郎
3万年前の航海 徹底再現プロジェクト―海洋進出のはじまりをさぐる― 海部 陽介
海運DXの推進における産官学連携のあり方
―2021年度日本海運経済学会全国大会における統一論題の議論を踏まえて―

柴崎 隆一/松田 琢磨/川崎 智也
 

執筆者紹介
山縣記念財団からのお知らせ
   

 

≪執筆者紹介≫

(掲載順)
藤原(森田) 紗衣子(ふじわら(もりた) さえこ)
 神戸商船大学航海科卒業 三級海技士(航海・機関当直)。神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了 博士(海事科学)。研究分野は、海上衝突予防法を中心とした航法解釈、海難審判及び船舶事故調査報告書における事故事例の検証。主な論文に、「日本における航法の権についての考察―横切り船の航法及び雑種船の航法より―」、「『船員の常務』解釈の変化についての一考察―『早期の行動』導入の影響」、「『新たな衝突のおそれ』適用事例における『無難に航過する』の問題について」、「海上衝突予防法第17条第2項についての一考察」、「運輸安全委員会による事故調査報告書が及ぼす影響についての一考察―LNG船プテリ ニラム サトゥ LPG船サクラ ハーモニー衝突事件の分析を中心に―」がある。所属学会は日本航海学会、日本海運経済学会。

畑本 郁彦(はたもと ふみひろ)
 広島商船高等専門学校機関科卒業後、外航船員の経験を積んだ後、広島大学工学部に編入。その後、海事コンサルタント業、外航船工務監督、内航船員などの職に就く傍らNPO法人日本船舶管理者協会の理事・技術顧問、一般社団法人 海洋共育センターの特別顧問等を歴任。また、2017年に神戸大学大学院海事科学研究科博士課程を修了(海事科学博士)し、博士論文が2018年の山縣勝見賞論文賞を受賞。現在(2019年から)は、日本内航海運組合総連合会にて船員対策委員会・環境安全対策委員会の事務局業務を行っている。海事関係の資格等:一級海技士(機関)、二級海技士(航海)、海事補佐人。専攻:内航海運の船舶安全管理に関する研究。主な著書:内航海運概論(共著者:古莊雅生),2021年,成山堂書店。論文等:「内航海運とカーボンニュートラル」(『海と安全』No.593、2022年)、「船員法及び内航海運業法の改正について」(『海事法研究会誌』第251号、2021年)など。

井上 敏孝(いのうえ としたか)
 奈良大学文学部史学科卒業。兵庫教育大学大学院(修士課程) 修了。兵庫教育大学大学院(博士課程) 博士号(学校教育学)を取得。兵庫教育大学(現在に至る)及び姫路大学等での非常勤講師等を兼ねつつ、大阪の常磐会学園大学専任講師として、保育士・幼稚園・小学校・中学校の教員養成に携わり現在に至る。専門は、日本史・台湾史・アジア史・経済史・教科教育学関連。主な著書は、『日本統治時代台湾の築港・人材育成事業』(単著)・『日本統治時代台湾の経済と社会』 (共著)・『中国の政治・文化・産業の進展と実相』(共著)以上、晃洋書房・『軍港都市史研究 要港部編』清文堂出版 (共著)が、近年の論文としては、「昭南における港湾復旧・整備工事について」『土木学会論文集D2(土木史)』Vol.78、1号・「戦前の3大博覧会で建設された暹羅館」『タイ国情報』第56巻第5号等がある。

瀬田 真(せた まこと)
 2007年早稲田大学法学部卒業後、同大学大学院法学法学研究科、London School of Economics and Political Science の法学修士課程を修了し、2015年に早稲田大学より博士(法学)を取得。博士後期課程在学中に、早稲田大学比較法研究所助手として勤務(2013-2015年)。2015年より横浜市立大学准教授。これまでの主な著作として『海洋ガバナンスの国際法:普遍的管轄権を手掛かりとして』(三省堂、2016年)、「民間海上警備会社(PMSC)に対する規制とその課題-海賊対策における銃器使用の検討を中心に-」『海事交通研究』第61号 23-32頁(2012年)など。本誌掲載論文が2013年に山縣勝見賞論文賞を受賞。専門は国際法(特に海洋法)。日本国際法学会・日本海洋政策学会などに所属。

坂巻 静佳(さかまき しずか)
 東京大学法学部卒業。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)(東京大学)。静岡県立大学国際関係学部講師を経て、現在同大准教授。専門は国際法。国際海洋法に関する近著として、“Measures Against Non-Innocent Passage of Warships and Other Government Ships Operated for Non-Commercial Purposes,” Japanese Yearbook of International Law, Vol. 61 (2018)、「BBNJ新協定の地域漁業管理機関に対する影響」坂元茂樹他編『国家管轄権外区域に関する海洋法の新展開』(有信堂高文社、2021年)等。所属学会は、国際法学会、世界法学会、日本海洋政策学会等。

久保 治郎 (くぼ じろう)
 1986年京都大学法学部卒業後、東京海上日動火災保険入社。現在、同社フェロー兼コマーシャル損害部専門部長(法規・約款)。早稲田大学客員教授(海法研究所客員上級研究員)。2017年~22年日本海損精算人協会会長。万国海法会海上保険常設委員会及び共同海損常設委員会委員。日本海運集会所海難救助報酬斡旋委員長。国際海上保険連合Salvage Forum委員。日本海事センターIMO法律問題委員会委員。「共同海損-2016年ヨーク・アントワープ規則の採択」海法会誌復刊第60号(勁草書房2017年)他5論文で2017年日本海法学会・小町谷賞(実務家の部)受賞。近著として「逐条解説2016年ヨーク・アントワープ規則−共同海損の理論と実務」(有斐閣2022年)(単著)、「船舶保険の損害対応実務」(保険毎日新聞社2022年)(共著)。後者で2022年度住田海事奨励賞受賞。日本海法学会、日本保険学会に所属。

下山 憲二(しもやま けんじ)
 関西大学大学院法学研究科博士課程後期課程単位取得後退学。修士(法学)。高知短期大学(准教授)を経て、2015年海上保安大学校准教授に就任し、2021年に教授。政策研究大学院大学連携准教授も併任。専門は、国際法(海洋法)、研究テーマは海洋の科学的調査、船舶の通航権。主要論文に、「海洋環境保護を理由とする無害通航の規制―沿岸国による海洋環境保護措置の拡大を中心に-」、「排他的経済水域におけるMilitary Surveyに関する一考察―国連海洋法条約第13部における海洋の科学的調査との相違をめぐって-」、「200海里を超える大陸棚における海洋調査活動―国連海洋法条約第246条6項が提起する問題―」がある。国際法学会、防衛法学会、日本海洋政策学会に所属。

青戸 照太郎(あおと しょうたろう)
 青山学院大学大学院法学研究科私法専攻博士前期課程修了。1997年社団法人日本海運集会所(現一般社団法人日本海運集会所)入所、2009年1月より同所仲裁グループ(現海事知見事業グループ)グループ長。2004年国土交通省海事局国内貨物課「標準内航運送約款検討委員会」委員、2005年国土交通省総合政策局複合貨物流通課「標準内航貨物利用運送約款検討委員会」委員、2018年国土交通省海事局内航課「標準運送約款及び標準内航運送約款のあり方に関する検討会」構成員、2019年国土交通省海事局内航課「登録船舶管理事業者評価制度検討会」構成員、2022年法務省法制審議会商法(船荷証券等関係)部会幹事。所属学会は、仲裁ADR法学会、日本海法学会。

海部 陽介(かいふ ようすけ)
 1969年生まれ。東京大学卒業。東京大学大学院理学系研究科博士課程を中退して1995年より国立科学博物館人類研究部にて研究活動を行い、2020年より東京大学総合研究博物館教授。人類進化学者 理学博士。化石などから約200万年におよぶアジアの人類史を研究している。クラウドファンディングを成功させ、最初の日本列島人の大航海を再現する「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」(国立科学博物館:2016-2019)を実行。2019年に、丸木舟で台湾から与那国島へ渡る実験航海を成功させた。著書に『人間らしさとは何か』(河出書房新社)、『サピエンス日本上陸』(講談社)、『日本人はどこから来たのか?』(文藝春秋)など。日本学術振興会賞(2012)、モンベルチャレンジアワード(2016)、山縣勝見賞特別賞(2019)、日本航海学会航海功績賞(2020)、海洋立国推進功労者表彰(2021)などを受賞。
 
柴崎 隆一(しばさき りゅういち)
 東京大学工学部卒業後、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。博士(工学)。東京大学工学部助手、国土交通省国土技術政策総合研究所港湾研究部主任研究官、同国際業務研究室長、(一財)国際臨海開発研究センター研究主幹等を経て2017年より現職。この間、中国清華大学深圳研究生院(大学院)現代物流研究センター訪問研究員、京都大学経営管理大学院客員准教授なども務める。専門は国際物流・国際交通モデリング。財団法人時代は発展途上国の港湾開発プロジェクトにコンサルタントとして参画、年の半分程度を海外で過ごす。現在の主な研究テーマは、世界各地を対象とした国際物流シミュレーションモデルの構築、AIS等の船舶動静に関するビッグデータを用いた物流分析など。東アジア交通学会(EASTS)、国際海運経済学会(IAME)、日本海運経済学会等で論文賞を受賞。近編著に「グローバル・ロジスティクス・ネットワーク」(成山堂書店)、「Global Logistics Network Modelling and Policy: Quantification and Analysis for International Freight」(Elsevier)等。

松田 琢磨(まつだ たくま)
 筑波大学第三学群社会工学類卒業。東京工業大学大学院理工学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術)(東京工業大学)。(公財)日本海事センター主任研究員を経て、現在拓殖大学商学部国際ビジネス学科教授。研究分野は海運経済学,物流(国際・国内)など。2014年度、2020年度日本物流学会賞(論文等の部)、2014年度日本海運経済学会賞(論文の部)、2021年度日本海運経済学会国際交流賞をそれぞれ受賞。その他 ‘Monopoly in Container Shipping Market: An Econometric Approach’(共著、2021年)、『新国際物流論 基礎からDXまで』(共著、2022年)等の著書/論文がある。所属学会は日本海運経済学会(常任理事、産官学連携委員長、編集副委員長)、日本物流学会(理事、編集委員)、国際海運経済学会(IAME)、日本経済学会、土木学会、日本交通学会、公益事業学会、日本クルーズ&フェリー学会。2021年5月よりNewsPicksプロピッカーも務める。

川崎 智也(かわさき ともや)
 日本大学理工学部卒業。アジア工科大学院工学技術研究科修士課程修了。東京工業大学理工学研究科単位取得退学。博士(工学)(東京工業大学)。(公財)日本海事センター研究員、日本大学理工学部助教、東京工業大学助教を経て、現在、東京大学講師。専門は港湾・海運計画、ロジスティクスで、東京都市圏総合都市交通体系あり方検討会委員。「コンテナ荷動き量に対する経済指標の影響の持続性」(共著)で2014年度日本物流学会賞(論文等の部)、「バルク貨物コンテナ化の決定要因について-北米/韓国・台湾航路における金属スクラップ輸入の分析-」(共著)で2014年度日本海運経済学会賞(論文の部)‘Optimization approach for modelling intra-port coopetition’(共著)でOCDI Takeuchi Yoshio Award for Logistics Research (Best Paper Award)(2018年)を夫々受賞。その他の論文は、‘Containerization of bulk trades: A case study of US–Asia wood pulp transport’(共著)、‘The effects of consolidation and privatization of ports in proximity: A case study of the Kobe and Osaka ports’(共著)等多数。所属学会は、土木学会、日本海運経済学会、日本物流学会、International Association for Maritime Economists(IAME)等。

                                                   (敬称略)

『海事交通研究』第72集寄稿論文、 「2023年山縣勝見賞」、 補助金助成申込みの募集のお知らせ

当財団は、新年1月5日(木)より、以下三事業の募集を順次致しますので、夫々の募集要領(又は早見表)をご覧の上、末尾の連絡先宛、是非ご応募・お問合せをお願いします。

1.海事交通研究第72集寄稿論文募集
当財団は、『海事交通研究』(年報)を1965年(昭和40年)11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。≪募集要領へ≫

2.2023年山縣勝見賞の募集
当財団は、2008年に創立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、海事交通文化の調査・研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を表彰しております。≪募集要領へ≫

3.2023年度補助金助成申込みの募集
当財団は、海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への補助金助成活動を行って参りました。≪募集要領へ≫


 

※※※※ 1.『海事交通研究』第72集への掲載論文等募集のご案内 ※※※※

 当財団は、『海事交通研究』を1965年(昭和40年)11月に創刊し、海運とその周辺分野に関する最新の研究成果を発表して参りました。  2023年12月発行予定の第72集につきましても、以下要領にて掲載論文等の募集を致しますので、奮ってご応募下さいますようご案内申し上げます。        尚、本件に関する最新情報については、当財団ホームページでご確認下さい。

・・・・・・募集要領・・・・・・

1.募集論文について


 『海事交通研究』は、海事社会、海事産業において生起する現代的な課題の抽出とその解消への試みのみならず、時代にとらわれない普遍的な事象の掘り起こしの他、あるべき将来を見据える等、何れも秀逸な論考を取り上げて流布することにより、海事に関する諸活動、諸現象の意義を広く一般社会へ知らしめる役割を果たしております。
 2019年末から蔓延し続ける感染症と共に、予期せぬ戦争が様々な形で世界に動揺を与えた2022年は、わが国の海運とこれを取り巻く諸産業、クラスターの分野においても見逃せない影響をもたらしていること、ご既承の通りです。
 こうした社会環境を考慮して、第72集のご投稿に関し下記テーマ案をご案内いたします。投稿頂く原稿のテーマは各々の内容に留めず、複数の内容にまたがるもの、内容を下地とした新たなテーマの案出の他、下記にないテーマの選択も可能です。
 皆様のご投稿をお待ちしております。


(1)海事一般 ①国際・国内物流における海上輸送の役割と課題、海上荷動きの動向分析 ②海運業・造船業の人材育成、外航船乗組員の教育の現状と課題 ③海事広報の現状と課題 ④戦争と海運
(2)航海・船舶関連 ①通信手段の進展と高度化 ②ポストコロナ時代のクルーズ ③災害と船舶(病院船等、海上からの支援) ④離島航路を中心とした旅客輸送の現状と課題 ⑤船舶管理の高度化と課題
(3)環境系 ①SDGs(持続可能な開発目標)の推進と課題 ②海運における温室効果ガス(GHG)排出削減に関する現状と課題 ③異常気象・海象、地球温暖化の影響と対策
(4)法務・保険・財務関連 ①海洋法、海事法の動向 ②海上保険の役割と課題 ③船舶ファイナンスの現状と課題
 なお、国内外の特定の地域における海事に関するレポート(報告、調査、体験レポート、活動報告、現地レポート等)も併せて募集します(査読の対象とはなりません)。

2. 応募資格者:どなたでも応募出来ます。

3. 応募原稿 :未発表のもので、原則日本語としますが、相談に応じます。共著も可。

4. 容量:A4版縦置き横書き(40字×40行)で最大14ページ(目次・図表・注等を含む)とします。

5. 応募・審査手順:
(1) 以下につき、ご了承の上、ご投稿をお願いします。

二重投稿・剽窃・自己剽窃とみなされる論文等の投稿は不可。
他誌/媒体にすでに掲載された文章を一定範囲で再掲される場合は必ずご相談ください。
②著書や新聞等の文献から引用した場合及び発想を転用した場合は、出典(著者名・タイトル・発行所名・発行年月等)を明記する。
但し、ウェブサイト上の資料を利用した場合は、URLとアクセスした日付を明記する。
(2) 論文等執筆の申請をされる方は「年報掲載論文等執筆申請書」(以下「申請書」という)を2023年1月5日(木)~2月28日(火)の間に、メール・郵便(2月28日消印まで有効)又はFAXによりお送り下さい。
申請書のWordフォームがお入用の方はご連絡下さい。
(3) 当財団の「年報掲載作品編集委員会」(以下「編集委員会」という)が提出された申請書を審査し、論文等の執筆を応諾するかどうかを3月末までにご連絡致します。
(4) 原稿提出締切日は2023年7月20日(木)23時59分までを財団着信時刻の締切として、メールに添付して応募することとします。

6. 提出論文の年報への掲載に際しては、査読(注)を経て、編集委員会での審議にて 決定し、9月下旬頃までにお知らせします(論文以外の形式で執筆された作品は査読 の対象外です)。発行は、12月上~中旬の予定です。査読を経た論文には、≪研究論文 (査読付き)≫と明記します。

(注)査読は、研究論文として応募されたものを対象に、大学または大学に準ずる教育研究機関において教育研究の経験のある者、および民間企業等で実務経験のある者の中で、査読対象の論文の研究分野に精通している者によって行い、①新規性・独創性、②有用性、③信頼性・公平性・客観性、④首尾一貫性、課題達成度、具体的提案、⑤読みやすさを評価項目とします。

7. 原稿料:年報に掲載された論文等については当財団所定の料率にて原稿料をお支払いし ます。

以 上

過去の年報掲載論文(2017年第66集まで)はこちらから

過去の年報掲載論文(2018年第67集から)はこちらから

 

 

※※※※ 2.「2023年山縣勝見賞」募集のご案内 ※※※※

 

 当財団は、2008年に設立者の名前を冠した「山縣勝見賞」を創設し、国民生活に重要な役割を果たしている海運を中心とする海事交通文化の研究及び普及・発展に貢献された方々を顕彰し、その研究成果を対象として表彰する制度を発足しましたが、この度も「2023年山縣勝見賞」への応募を以下の通り受け付けます。
なお、本件に関する最新情報については、当財団ホームページでご確認下さい。

・・・・・・募集要領・・・・・・

1. 募集対象分野 :海運、物流、港湾、造船、海上保険及びその周辺分野をテーマとする著作(共著も可)、論文ならびに業績

2. 募集開始日 :2023年3月1日(水)

3. 応募締切日 :2023年4月30日(日)(当日の消印有効)

4. 賞の種類及び対象 :
① 著作賞  海事関係の単著又は共著で、2020年1月1日から2022年12月31日までの間に発表されたもの。
② 論文賞 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの。
③ 功労賞 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった個人。 特にその業績の対象期間は問わない。
④ 特別賞 上記三賞に匹敵する功績が認められる個人又は法人並びにその事業
なお、既に他の学会又は団体などから受賞している場合でも受賞の資格を有するものとします。

5. 賞金 :各賞とも20万円

6. 応募手続 :応募は、個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。
応募者は、 山縣勝見賞推薦/申請書(Excelフォームがお入用の方はご連絡下さい)に当該書籍/論文を1部添付の上、提出して下さい。 (著書は後日返却します。)

7. 受賞者の発表 :受賞者の氏名等は、2023年6月までに当財団のホームページ、その他海事関連のメディアを通じて発表します。
なお、受賞者への贈呈式は2023年7月17日(月・祝)の「海の日」の前後に行います。

以 上

 

 

※※※※ 3.2023年度補助金助成申請のご案内 ※※※※※

 

 当財団は、海事交通文化の研究及び普及・発展に貢献する事業への支援・助成活動を行って参りましたが、2023年度につきましても以下の通り募集致しますので、ご応募下さい。
なお、本件に関する最新情報については、当財団ホームページでご確認下さい。

・・・・・・募集要領・・・・・・

1. 募集対象分野:海事交通文化の調査研究、その他海事の発展に貢献し、または貢献しようとする事業への支援・助成

2. 募集開始日 :2023年1月5日(木)

3. 応募締切日 :2023年2月28日(火)(当日の消印有効)

4. 申請のための条件 :
(1) 2023年4月から2024年3月までに実施する事業であること

(2) 収益を目的とする事業は対象とせず、海事交通文化の振興又は調査研究に関連する事業であること

(3)2023年3月までに実施したことのある事業の場合、その実績が一定の評価を得ていること。また、これから実施しようとする事業の場合は、当該事業を実施するための実態的な人材・知見が整い、事業目的が明確に示されていること。

(4) 事業の経費のうち、当該事業の実施のために直接必要な経費(以下、直接経費という)を対象とする。一方、当該事業を含む申請者の活動全般に包括的に必要な経費は対象外とする。例えば、機器・図書の購入費、人件費、学会等参加費、交通費、宿泊費等は、直接経費と判断される場合のみ対象とする。

(5)補助金を2024年3月までに使い切れないことが判明した場合は、申請以外の使途に流用することなく、2024年3月までに当財団に差額を返金すること。

(6)申請者の所属する大学等が当該補助金に係る会計処理を担当し、その事業経費を補助金の一部から充当したいとの申し出があるときは協議に応じる。

(7)本補助金を利用して活動した後、本補助金の使途に関する事後報告を、遅くとも2024年4月までに行うこと。

(8)本事業の成果について対外発表する場合は、当財団の補助金による事業である旨の記載を行うこと。

5. 申請手続 補助金助成申請書(又はこれに代え、募金趣意書等)の提出による。(申請書のWordフォームがお入用の方はご連絡下さい。)

6. 審査結果の発表 :助成審査委員会(2023年3月上旬開催予定)により審査し、理事会(2023年3月中~下旬開催予定)に答申。結果は4月上旬までに申請者宛連絡する。

7. 補助金の振込 :申請者の請求書又は寄附金受入通知(金額、目的、振込口座、名義、振込希望年月日を記載)に対して行う。

以 上


 

【以上三事業の申請書等の送付先・問合わせ先】
一般財団法人 山縣記念財団
〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-4-5 川村八重洲ビル2F
TEL:03-3552-6310, FAX:03-3552-6311
E-mail: zaidan@yamagata.email.ne.jp