「2009年山縣勝見賞」募集開始のお知らせ

2009年山縣勝見賞応募要領

 

1.応募対象分野:
わが国の海運、物流、港湾及びそれらに付随する分野における著作(共著も可)、論文並びに業績

2.募集開始日:
2009年1月7日(水)

3.応募締切日:
2009年3月31日(火)

4.賞の種類及び対象:

①著作賞(30万円) 海事関係の単著又は共著で、2006年1月1日から2008年12月31日までの間に発表されたもの

②論文賞(20万円) 海事関係論文で、上記と同期間に発表されたもの

③功労賞(20万円) 海事交通文化の発展に顕著な業績のあった方で、特にその業績の対象期間は問いません。

なお、いずれの賞についても既に他の学会又は団体から受賞している場合でも賞の対象とします。

5.推薦・申請手続:応募は原則として、海事関係の個人・団体の推薦又は自薦によるものとします。
応募される方は、所定の推薦書又は申請書に当該著作書籍・論文コピーを1部添付の上、下記住所宛郵送して下さい。
(書籍は後日返却します)
その他詳細は当財団事務局宛(後述)お問い合せ下さい。

6.受賞者の発表:2009年6月上旬予定

7.受賞者の表彰:2009年7月中旬予定

以上

 

推薦/申請書・書籍/論文コピー郵送先:
財団法人山縣記念財団
〒104-0032東京都中央区八丁堀3-1-9 京橋北見ビル西館5F

本件に関するお問い合せ先:事務局郷古達也TEL:03-3552-6310,FAX:03-3552-6311
お問い合わせフォーム


2009年山縣勝見賞のポスターはこちらから
2008年山縣勝見賞についてはこちらから

「海事交通研究」(年報)第57集発行しました!

「海事交通研究」(年報)第57集発行しました!

≪序文から≫
≪目次≫
≪執筆者紹介≫

 


≪序文から≫

本財団では、財団設立の趣旨である国民海事思想の普及・徹底および海事諸現象の理解に必要な理論的研究に顕著な業績のあった人を顕彰するために、財団の設立者名を冠した「山縣勝見賞」を創設した。
急な募集にも関わらず、著作賞にはたくさんの応募をいただいた。それに比べると、若手研究者を対象にした論文奨励賞への応募は少なかった。この原因が、急な募集のためなら仕方ないが海運を研究する学者が少なく、かつ論文を書く若手学者が少なくなっているとしたら心配である。佐波宣平教授は「海運研究者の悲哀」の中で、「海運経済の領域には古典と名のつくものがなく研究者にとって極めて不利である。だから海運経済の研究を積極的に若い人たちにすすめる気になれない。」と言っておられる。
しかしこれは1951年ごろのことで、その後佐波教授をはじめ多くの学者の努力により古典と言えるものが今日では充実している。
となると、海運には若い人の情熱を掻き立てるものがないのだろうか。

個人的なことだが、私が海運会社へ入社した1961年、海運会社は、まだ第二次世界大戦のダメージから立ち直っておらず、その収益・株価・社員への待遇どれをとっても見劣りがあった。そして不況・合理化・合併は退職するまで続いた。
しかしその間仕事は大変面白かった。
これは多分海運という領域にはたくさんのテーマがあり深い知識を要求されるからだと思う。

一方、研究者が少ないということは、海運を学ぶ学生も少ないことでもある。
今海運会社では新卒者を採用する際、海運について学んだかどうかはあまり重要ではないと考えられているようだが、海運を学び船が好きだから海運会社に入りたいという情熱を私は評価したい。

最近、海運会社の経験を生かして大学で教鞭をとる人が増えている。望ましいことである。会社での経験で
得た知識や海運の面白さを学生に伝えてほしい。

今年の年報では実務経験者石黒行雄先生、森隆行先生そして現役の合田浩之先生の論文を掲載した。
実務経験者でなければ書けない豊富な知識に裏打ちされた立派な論文である。

また、今年度から柴田先生による戦後港湾政策に関する論文の掲載が始まる。長年の経験による分析は楽しみである。

青木氏による山縣勝見が会長を務めた海洋少年団の活動について、また、海運が直面している問題として海賊・テロ問題に関する山田先生の論文、今後のロジスティクス展開に関する林先生の論文、そして今まで誰も書かなかった鈴木先生の「海貨業の現状と課題」と充実した論文を満載した第57集「海事交通研究」を発行できたことに関し、執筆者の皆様に感謝申しあげるしだいである。

2008年11月                            
財団法人 山縣記念財団
理事長 宮都  讓 

11月下旬発行後、海運関係の学者・研究者の皆様や国立大学法人、公立および私立の大学図書館・研究所・資料館・一部の企業に配本しました。関心をお持ちの方、購読をご希望の方は、下記までe-mail又はお電話にてお問合せ下さい。
又、本誌をお読みになってのご感想・ご意見なども是非お寄せ下さい。       

財団法人 山縣記念財団

お問い合わせフォーム
TEL(03)3552-6310

 


≪目次≫

 
 序文 ………………………………………………………………………宮 都   讓
                                     (㈶山縣記念財団理事長)
【特別寄稿】
 海洋少年団活動について 〜海洋教育を通じ青少年の育成〜……… 青 木   稔
                               (㈳日本海洋少年団連盟専務理事)

 船舶解撤業と環境 〜印度の試み〜……………………………………合 田 浩 之
                      (日本郵船㈱経営企画グループ 経営企画チーム)

 海賊の変遷………………………………………………………………山 田 吉 彦
                                   (東海大学海洋学部准教授)

 海運同盟独占禁止法適用除外問題の行方……………………………石 黒 行 雄
                   (日本フルブライト・メモリアル基金シニア・アドバイザー)

 日本企業のグローバル・ロジスティクス・マネジメント展開………………林   克 彦
                               (流通経済大学流通情報学部教授)

 LNG海上輸送の今後の展開………………………………………………森   隆 行
                                   (流通科学大学商学部教授)

 海貨業の現状と課題−総合物流業へ向けて……………………………鈴 木   暁
                                      (日本大学非常勤講師)

 戦後経済の流れと港湾政策の検討(前編・1982年まで)……………柴 田 悦 子
                                    (大阪市立大学名誉教授)
 
 追記・訂正

 執筆者紹介

 2008年山縣勝見賞決定 
 

 


≪執筆者紹介≫
(掲載順) 

青木稔(あおきみのる)
1967年海上保安大学校卒業後、海上保安庁に入り、総務部教育訓練課長、第十管区海上保安本部長、海上保安大学校長などを歴任。2005年社団法人日本海洋少年団連盟専務理事に就任し、現在に至る。
又、2004年より2006年まで海上保安大学校国際海洋研究センター客員研究員を務め、2003年から2006年までは国際会議「日印海洋安全保障ダイアローグ(第1、2フェーズ)」に参加し、日本及びインドにおいて講演を行った。

合田浩之(ごうだひろゆき) 
東京大学経済学部経済学科卒。1991年日本郵船㈱入社。現在、経営企画グループ経営企画チームに所属し、㈱MTI技術戦略グループ(プロジェクトマネージャー)を兼任。その間、㈱日本飛行船取締役等を歴任する傍ら、筑波大学大学院博士課程ビジネス科学研究科を修了し、法学博士号を取得。東海大学海洋学部航海学科国際物流専攻や一橋大学商学部で教壇に立つ。
近年の論文としては、「ABL融資と倉庫証券」、「欧州統合日本海運からの視点」、「補油港の研究」、「AssetBasedLendingと物流事業者への可能性」及び「便宜置籍船―その法的・経済的意義の再検討―」(山縣記念財団『国際海運と国際物流の新地平』所収)などがある他、『Q&A貿易実務トラブルマニュアル』、『貿易商務の新展開』などの共著作がある。
日本海運経済学会、日本港湾経済学会、日本貿易学会、日本物流学会、国際商取引学会会員。

山田吉彦(やまだよしひこ)
学習院大学経済学部卒。埼玉大学大学院修了。博士(経済学)。金融機関勤務を経て、1991年から日本財団(日本船舶振興会)勤務。海洋船舶部長、海洋グループ長、広報チームリーダーなどを歴任。
現在は東海大学海洋学部准教授を務める傍ら、海洋政策研究所研究員を兼務する。日本を取り巻く海にかかわる様々な問題に取り組んでおり、日本の海上保安体制、現代海賊問題などのエキスパートとして、『天気で読む日本地図』、『海のテロリズム』、『日本の国境』、『海賊の掟』など多くの著書や論文がある他、テレビ出演や講演でも活躍中。日本航海学会、日本沿岸域学会会員。

石黒行雄(いしぐろゆきお) 
早稲田大学第一商学部を卒業後、山下汽船㈱入社。山下新日本汽船㈱東京支店、ニューヨーク駐在員、太平洋岸首席駐在員、日本ライナーシステム㈱北米法人会社社長、総務部長などを歴任した。その後日本郵船㈱を経て、現在、日米教育委員会・日本フルブライト・メモリアル基金シニア・アドバイザーを務める。
又、横浜国立大学大学院にて国際経済法修士課程及び国際社会科学研究科国際法専攻博士後期課程を修了(学術博士号を取得)。博士論文は「定期船海運の法政策に関する比較研究~海運の公共性から観た競争法適用除外の擁護~」。同論文は2008年度山縣勝見賞を受賞し、2008年4月より㈶山縣記念財団研究員となる。日本海運経済学会、国際経済法研究会会員。

林克彦(はやしかつひこ)
東京工業大学理工学研究科修士課程修了。日通総合研究所、流通科学大学商学部教授などを経て、2007年より流通経済大学流通情報学部教授。専門分野は物流論、国際ロジスティクス論。情報化、国際化、環境問題、規制緩和などにより、物流がどのように変わっていくのかに関心をもって研究している。共著作に『現代企業のロジスティクス』、近年の論文に「航空貨物輸送事業者によるグローバル・ロジスティクス・サー
ビスの展開」(2007年度日本海運経済学会賞受賞)、「アメリカにおける3PLビジネスの発展」、「グローバル・ロジスティクス事業再編とその背景」などがあり、日本物流学会、日本交通学会、日本海運経済学会、日本港湾経済学会で活躍中。

森隆行(もりたかゆき)
大阪市立大学商学部卒。1975年大阪商船三井船舶㈱入社。大阪支店輸出二課長、広報課長、営業調査室室長代理、AMTfreightGmbH (Deutscheland)社長、㈱丸和運輸機関社長室長兼海外事業本部長、㈱商船三井営業調査室主任研究員などを歴任の後、大学教員に転じ東京海洋大学や青山学院大学の講師を経て2006年からは流通科学大学商学部教授。海運・物流の各分野に亘って関心範囲が広く、『外航海運とコンテナ輸送』、『外航海運概論』、『豪華客船を愉しむ』、『戦後日本客船史』(2006年度住田海事奨励賞受賞)『現代物流の基礎』、『まるごと!船と港』などの著書や多くの論文・エッセーなどを通じ、海事文化の啓蒙に貢献している。日本海運経済学会、日本ロジスティクスシステム学会、日本物流学会、日本貿易学会、日本港湾経済学会などに所属。

鈴木暁(すずきぎょう)
法政大学社会学部卒。神奈川大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。㈶日本関税協会、㈶港湾労働経済研究所、東芝情報システム㈱勤務の後、広島商船高等専門学校の助教授、次いで教授となる。
その後、港湾職業能力開発短期大学校で教鞭をとり、現在は同短期大学校、日本大学商学部、中央大学商学部で非常勤講師を務める。『国際物流の理論と実務』(単著)、『現代物流概論』、『現代の内航海運』(以上共著)などの著書及び「フォワーダーの限界と可能性」、「海貨業における3PL導入の可能性と課題」、「コンテナ輸送のセキュリティに関する考察」などの論文がある。日本港湾経済学会、日本海運経済学会、日本物流学会、日本貿易学会会員。2007年より㈶山縣記念財団評議員。

柴田悦子(しばたえつこ)
大阪市立大学名誉教授。商学博士。大阪女子経済専門学校(現大阪経済大学)を経て、1951年大阪商科大学(現大阪市立大学)卒。同年大阪商科大学商学部助手となり、経済政策分野を担当。
その後交通論特に海運論や物流経済論を担当するが、港湾の研究にも傾倒した。現場に取材したフィールドワークや、国際物流研究者間の共同研究にも力を入れ、その成果は、『港湾経済』、『現代の港湾』、『国際物流の経済学』、『交通論を学ぶ』、『現代の交通政策を問う』、『物流経済を考える』といった著作となって結実した。
大阪市立大学教授定年退官後は下関市立大学、名城大学でも教鞭を取り、2000年退職。現在、日本港湾経済学会顧問、日本海運経済学会名誉会員、日本交通学会会員。

(敬称略)