『海想 ~海運業界の想い出話集~』発行

 この度、当財団は、『海想~海運業界の想い出話集~』を発刊致しました。

 その浮き沈みの激しさ、国際性、海上特有の気象・海象に絡むものなど海運業界の経験者の方々の経験談は非常に面白いものが多く、それらを纏めて一冊の本として発刊出来ないものかと検討を進め、多くの方々からのご協力を得て発刊に至ったものです。

 現在そして将来の海運界を担う人たちの指標として、また海運人を周囲で支えるご家族や知人・友人の方々や一般の方々に海運界での様々な出来事や海運人の奮闘の有様を知って頂き理解を深めて頂く一助となるように願っております。

 お読みになりたい方は、在庫の範囲内にてご手配させて頂きますので、ご連絡をお願い致します。


『海想』の表紙写真

本書内容(「はじめに」より)

 今回エッセイ集を出版するに際し、海運や物流といった「海」を取り巻く会社で働いた方々、また、現在勤務中の方々に声をかけて、仕事を通じて、こんな荷物を運んだ、こんな事故やトラブルを経験した、乱高下する海運市況の中での傭船の苦労話、素敵な出会い、楽しい経験など様々な思い出をエッセイ文の形式で執筆をお願いしました。

 海運に関する専門書は数限りなくありますが、海運に関わりのある会社に籍を置いた様々な立場の人たちが、自分の仕事を通して経験してきたことをありのままに記したエッセイ集はわたくしの知る限りなかったのではと思います。

 題して『海想~海運業界の想い出話集~』
  第一部は 潮流(ちょうりゅう) ―時の移り変わりと共に
  第二部は 時化(しけ)    ―押し寄せる荒波に翻弄されて
  第三部は 宜候(ようそろ)   ―まっすぐに進んだ先に穏やかな海が・・・

 当時は誰にも話せず自分の胸の内にしまっていたことが、時代が過ぎ、環境も変わり、「今だから話せる」という話題もたくさん掲載することができました。新しいプロジェクトの前に立ちはだかる困難を周りの人たちと協力して乗り越えてゆく姿、全世界を相手に熾烈な競争の中で厳しい経営に晒され度重なる合理化の中でも試行錯誤しながら自分の道を究めていく姿・・エッセイを読むうちに元気が出てくるもの、ついつい頬が緩んでくるもの、また、自然と涙が流れてくるものなど数多くのエッセイが含まれています。ただ言えることは、全てのエッセイの根底に流れるものは執筆者の皆さんの海、そして船を愛する強い想いであろうと思います。

 国民生活・経済を支える上で大きな役割を担っている海運への理解が残念ながら国民に浸透していない現状において、この本が少しでも海運に関心を寄せてくれる人を増やせること、特にこれからの社会を担っていく若い人たちに海・船・海洋に対し興味をもってもらうことに役立てれば幸いであります。

執筆にご協力いただいた諸氏、とりわけ、遠い昔の記憶を辿って苦労して執筆頂いた諸氏に心より感謝の意を表します。

 2013年7月
                       一般財団法人 山縣記念財団
                            理事長 小林 一夫

以上

「2013年山縣勝見賞」贈呈式開催

当財団が海事交通文化の研究及び普及発展に貢献された方々を顕彰するために、2008年に創設した「山縣勝見賞」は本年第6回目を迎え、7月12日(金)「2013年山縣勝見賞」の贈呈式を、海運クラブにて開催致しました。
(写真をクリックすると大きくなります。)


「2013年山縣勝見賞」贈呈式における記念撮影 2013年7月12日 於海運クラブ
左から 瀬田真氏(論文賞)、山岸寬氏(功労賞)、瀬野克久氏(著作賞)

 受賞者、受賞者略歴、受賞理由は以下の通りです。

≪著作賞≫

 瀬野克久氏著『船舶融資取引の実務』
 (日本海運集会所、2012年2月発行)
 
 受賞者略歴:
 1956年生まれ 慶應義塾大学法学部卒業
 1984年弁護士登録

 現在、一橋パートナーズ法律事務所代表弁護士、
     早稲田大学海法研究所 招聘研究員、
     一般社団法人日本海運集会所 海事仲裁委員会海事仲裁人
 
 受賞理由:
 本書は船舶融資関連取引に従事するに当たり必要とされる金融、船舶登録制度、船舶保険、
 傭船契約、船舶売買、造船契約、船舶管理、担保法、倒産法、会社法、外国の法律等多岐に
 亘る知識、 実務上の取扱について論述した優れた実務書であることが認められる。
 

≪論文賞≫ 

 瀬田真氏執筆「民間海上警備会社(PMSC)に対する規制とその課題
 ~海賊対策における銃器使用の検討を中心に~」
  (山縣記念財団『海事交通研究』第61集(2012年11月発行)掲載)
 
 受賞者略歴:
 1983年生まれ
 2008年London School of Economics and Political Science法学修士課程修了
 2010年早稲田大学法学研究科修士課程修了
 現在、早稲田大学比較法研究所助手
 
 受賞理由:
 海賊に対して銃器の使用に規制がある現在の法制下で、民間海上警備会社(PMSC)などの
 あり方を法制面及び実務面から考察した論文で、現在海運会社のみならず社会的に非常に
 注目されている論題を扱った秀逸作と認められる。
 

≪功労賞≫

 山岸寬氏
 
 受賞者略歴:
 1941年生まれ 早稲田大学大学院商学研究科商学専攻博士課程単位取得満期退学
 東京商船大学商船学部教授、東京海洋大学海洋工学部教授、
 流通経済大学流通情報学部教授などを経て
 現在、東京海洋大学名誉教授
 
 受賞理由:
 長年に亘り我が国の海運を取り巻く学術研究に尽力され、教育・研究活動において多大な
 功績を挙げた。また、学会においては日本海運経済学会の副会長のほか複数学会の役員を
 務めた。そのほか、数多くの著書や論文を発表し、『海上コンテナ物流論』は日本海運経済
 学会賞を受賞した。
 

なお、本件に関するお問い合わせは、下記へお願いします。

一般財団法人 山縣記念財団  TEL(03)3552-6310